今回の記事は「プラントエンジニアの仕事第2弾」です。第1弾ではそもそもプラントエンジニアとはどういう職業なのか、その概要について記事を書きました。
第2弾では、プラントエンジニアリングの仕事についてもう少し具体的に紹介していきたいと思います。
第1弾はこちらの記事にまとめていますので、もし良ければ見てみてください!

今回の記事は前回と同様に下記の方向けに書いていきます。
- 「プラントエンジニアリング業界」に興味がある学生
- 石油や天然ガス、電力など「エネルギー業界」に興味がある学生
- 技術系だが、様々な海外で働いてみたいという方
プラントエンジ業界の説明会やセミナーに参加すると必ずと言っていいほど耳にする言葉が「EPC」です。
「EPCとは??」と思う方も、「聞いたことあるけど何のことか分からない」という方もおられるかもしれません。
そのEPCとはいったい何なのか、説明してみたいと思います。
目次
EPCとは
早速ですが、EPCとは。
正直、プラントエンジ業界に関わりのない方からすると耳慣れない言葉だと思います。
ただこの言葉、エンジ業界ではとても大切です。
「Engineering, Procurement, Construction」という3つの言葉のそれぞれ頭文字を取った用語です。Engineeringとは設計、Procurementとは調達、Constructionとは建設という意味です。
プラント建設プロジェクトは大きく3つのフェーズに分けられます。EPCの文字の並び順通りに、設計フェーズ、調達フェーズ、建設フェーズです。
最終フェーズである建設フェーズが終了すると、試運転を経て、晴れて顧客に対しプラントを納品(Handover)することになります。
納品といっても、プラント全体を敷地レベルで引き渡すので、「はい、これをどうぞ」って感じではありませんが。。
それでは3つのフェーズを説明していきます。
①Engineering(設計)のフェーズ

「設計」という言葉は誰もが知っている言葉だと思います。ただ、「じゃあ具体的に何のこと?」と問われると、色々とありすぎて中々答えるのが難しい面もあります。
そもそもDesignも設計と訳されたりします。Engineeringとしての「設計」とは何なのでしょう。
それを一言で表してみると、
「プラントを建設するために必要な情報を、基本から詳細へと段階的に決定していくこと」
だと思います。ただ、これだけではイメージが湧きにくいですよね。
なのでざっくりと言ってしまうと「プラントの3D Modelを作成すること」になると思います。

こういったプラントの完成形を全部3Dモデルで組み上げていきます。
ですので、図面を手で書くといった作業は行いません。全部PCです。このモデルから逆に2次元の図面を出力します。
このモデルには、機器や配管の設計圧力や温度、材質などなど様々な情報が紐づけられています。よって、このモデルデータが何より大切で、このモデルを段階的に仕上げていくこと、これが設計のメインといえます。
②Procurement(調達)のフェーズ

Procurement(調達)はEPCの言葉の中で一番イメージしにくいかと思います。ここでプラント建設とはざっくりどういうものなのか振り返ってみますと、
「顧客の要望に合ったプラントを建設するために、世界中のベンダー(メーカーみたいなものです)から素材を買い集めて、建設地に組み上げていく」のがプラント建設です。
つまり調達とは、世界中の企業から様々な材料を買い付けて、それを建設現場まで届ける、という段階なのです。
買うものが日用品であれば、Amazonでポチっとするだけで、翌日か翌々日には宅配人の方が家に届けてくれますよね。
ですが、プラント建設では、膨大な鉄骨や配管、数百トンを優に超えるような金属機器、何十kmにわたる電線など大量の物資を数ヶ月かけて海外の建設現場へ届けなくてはなりません。
そして、こういった製品は高額です。金額の交渉も大変に重要です。
プラントに必要なものに関して、「コストの管理、運送の管理、納期の管理」といった事を専門に取り扱う組織が「調達」というわけなんです。
③Construction(建設)のフェーズ

さて、いよいよ最終フェーズである「建設」に入ります。
「設計」で様々な事を決定し、その決定に従い「調達」で購入された物たちが現場に続々と届いていきます。
筆者が関わってきたのは主に石油精製プラントやLNG(液化天然ガス)プラントだったため、建設現場は油田・ガス田付近の海外諸国がメインでした。
そのため、現場は海外の沿岸部であることが多いです。
具体的には、中東のカタールや、オーストラリア、ベトナムで勤務しました。
実は、必ずしも現場の作業員がその国の人間であるわけではありません。特に中東諸国では、国民が建設現場に出てくることはほぼ皆無です。大半が海外から働きに来ている労働者です。
故に、建設現場はとても多国籍な環境となるため、赴任する技術者は、かなり国際コミュニケーション能力が求められます。
加えて、3つのフェーズ中、最も多くのトラブルに見舞われます。この建設段階での業務は「柔軟性、忍耐力、冷静さ」が大きく問われます。
建設現場を一通り経験することは、プラントエンジニアとして大きな成長になる、と言われています。
筆者は若手エンジニアとして、後半に差し掛かった現場に何度か赴任した程度ですが、初期から関わっているプラントが2,3年を経ていよいよ完成する姿には大きな達成感を感じるそうです。
おわりに

今回は、プラントエンジ業界で重要な言葉の1つである「EPC」についてお話ししました。エンジ業界やエネルギー業界での仕事に興味のある方に少しでも参考になれば幸いです。
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